時速20キロの風

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江戸は築地の包丁屋さんを訪ねる

 縁があって、築地にある包丁屋さんを訪ねた。

人通りが多い中、狭い路地を、人をかき分けるように歩く。

魚屋さんやお寿司屋さんが並ぶ中に、その包丁屋さんはある。

間口が狭くて奥に細長いお店の中は、大柄な外国人観光客でひしめいている。

本来は、本職の料理人のための店なのだが。

 

和包丁が海外で流行りなのだそうだ。

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで海外で和食がブームとなり、日本から多くの料理人が海外に渡った。彼らが使っている和包丁が、現地の料理人たちに絶賛されたのだという。絶賛の理由は、その切れ味と耐久性だそうだ。

日本の鍛冶職人による伝統の鍛造技術と研ぎの技術が、世界の料理人を魅了したのである。

 

なので、日本に行ったらお土産に包丁を買いたいというインバウンド客が増えたのだそうだ。

同じ東京では、道具屋が集まる合羽橋の包丁屋さんは従来5軒ほどだったのが、ここ数年で20数件まで増えたそうである。

しかしながら伝統的な技術を持つ鍛冶職人は減る一方で、ほんものの打ち刃物の生産量は限られており、需要を満たすのが年々困難になっているという。

 

ちなみにアメリカの家庭では、男が料理する機会も多く、最初は奥さんのために、と包丁屋さんを訪れた旦那が、陳列にある包丁を見たとたんに自分の方が夢中になり、高価な打ち刃物を買っていくことが多いのだそうだ。

奥さんの方は、その様子を冷めた目で見ているそうで。

 

打ち刃物も調べていくと奥が深い。

あまり知られていないかもしれないが、海外が注目する日本の伝統である。

国内では日本刀がブームだが、いやいや包丁の刃の持つ妖しさは日本刀に勝るとも劣らない。海外の刃物マニアやコレクターからの注文も増えてきているそうである。