先にお詫びを申し上げます。
私、以前に、10歳は年上の居合道家から、坐骨神経痛で動けない、しばらく稽古を休む、という連絡があった際に、ちょっと笑ってしまったのです。
というのも、その坐骨神経痛、という言葉の響きが「いかにも老人」と思えたのと、「その程度で何日も寝込むとは、おおげさな」と感じて。
坐骨神経痛という症状について無知であったが故なんですが、高齢者が椅子から立ち上がる際に、腰を押さえて、いてててて、と言ってる程度のイメージだったのです。
実際に、発症してわかりましたが、とてもそんなレベルではないです。
痛みは主に左足首に出ました。
就寝時に突然の激痛です。2年ほど前に交通事故で鎖骨遠位部骨折により手術を受けたりして、その時も相当痛かったんですが、その比ではないと感じました。
また鎖骨骨折の時も右腕が使えず、ずいぶん不便を感じましたが、足が動かせないことの不自由さはそれを超えました。
家の中でトイレまでのわずかな距離でさえ、壁に両手をついて、左足を浮かせるようにして移動しないといけなくて、相当に時間がかかりました。
とにかく、痛みの出る箇所をひねったり、さわったり、何かしたときに痛む、とかではなく、常時痛みが出まくるので、痛みを軽くする術がないのです。
神経障害性疼痛ということで、皮膚でも筋肉でも骨でもなく、神経が障害されてバグってしまい、痛みの信号を脳に発信しまくる、ということらしいので、身体の外側からは何も施しようがないのです。
発症は、月曜の夜突然に、でした。
その2日前の土曜日に、久しぶりに大和川リバーサイドサイクルラインへのサイクリングを敢行しました。往復で50キロ程度のチャリ散歩でした。翌日の日曜は、チャリで近所に買い物に出たり、と普通に過ごしました。
で、月曜日です。出社して、PCに向かって、体をひねって足を組み、長時間の入力作業をしました。不自然な姿勢だったことは否めません。
ちょっと休憩と立ち上がった際に、組んでいた左ひざが少ししびれたような感じはありました。長時間正座していて急に立ち上がろうとしたらしびれた、というしびれの、超軽い感じです。なので、まったく気にしてませんでした。
左ひざは10年近く前にチャリで転倒して膝蓋骨を強打した古傷があり、数年おきに、正座が苦になるような痛みがでるのですが、ちょうどその時期だったので、常に感じている軽い痛みや違和感との差を感じることもない程度の痛みでした。
で、月曜の夜です。すこし痛みが残っているので、久しぶりのサイクリングによる筋肉痛が2~3日して出たのかと思い、入浴時、浴槽の中で、左足を温めながら両手を使ったマッサージで丹念にほぐしました。
風呂を出て寝床に入って、それからです。左足首の痛みで目が覚めまして、そこから眠れないくらいに痛みが出てきました。揉む、さする、といろいろしましたが、何をしても収まらない、これはどうもまずいのではないか、と思い、寝床の中でスマホを開いて、最寄り駅周辺で整形外科のクリニックが9時から開いていることを確認し、朝を待ちました。
朝、家人に駅前のクリニックまで車で送ってもらいましたが、駐車場まで行くのは当然、車に乗り込むのも一苦労でした。傷口があるわけではなく、何をしてもしなくても痛むので質が悪いです。
クリニックについても、壁伝いにしか動けないので、受付の方も、あらあら、という感じで急ぎの対応をしていただきました。
火曜日の朝の整形外科クリニックの待合は、高齢の男女でいっぱいです。やっと空いた椅子を見つけて座らせてもらいました。が、座ってようが、立ってようが、痛みは変わらないのでなかなかにやっかいでした。
飛び込みの初診なので、1時間以上は待ったと思います。やっと呼ばれたら、レントゲンを撮るということでレントゲン室へ。数メートルの廊下を進むのも難儀です。レントゲンが終わったら再び待合へ。もう空いた椅子はなく、壁にへばりつくように立っていました。
80は過ぎてるように見えるおばあさんが、替わろうか、と言ってくれましたが、大丈夫!と笑顔で返し壁にへばりついてました。
ようやく診察室に呼ばれ、レントゲン所見には異状はないこと、年相応に椎間板のすり減りは見受けられるが、手術や治療が必要な程度ではないこと、など説明され、坐骨神経痛、という診断でタリーゼという薬と痛み止めの軟膏を処方されました。
なお診察の際に、「痛みが出始めたときに、風呂に入ってあたためてマッサージをした」、と医師に伝えたところ、「一番やったらあかん時期に、一番やったらあかんことしたなぁ」とあきれられました。
痛みの出初めには、冷やしてそっとしとくのが正解やったらしいです。
そんなん知らんやん…。
結局、翌日の水曜日も動けず、なんとか動けるようになった木曜日に、杖を突きながら出社しました。平地をよちよちと歩き、階段は手すりにぶら下がるようにして、一段ずつそっと降りるので、えらい時間がかかります。
骨折で右腕を三角巾で吊ってた時は、電車の中で席を替わってもらえましたが、杖をついていているだけだと替わってはもらえませんでした。見た目からして要介護高齢者、というビジュでもなく、立ってるだけだと背中も伸びているし、つらさの程度がわかりにくいんだと思います。
一度、目の前の席に座っていた黒人のおじさんが「替わろうか?」というしぐさをしてくれたので、「いや、大丈夫だぜ、でもサンキューだぜ」と異国の人にもわかるように、はっきりとした笑顔としぐさで辞退しました。
自分ではいけたつもりでしたが、洋画で観る外人のしぐさをデフォルメしたコントみたいになったかもしれません。「ほんとに大丈夫なのか?」という表情で、黒人のおじさんが浮かせかけた腰を座席に戻しました。
実際その時は、大丈夫、というより、「替わってもらって座席に座る一連の動き」の方がやっかいな気もしていて感謝して辞退しました。
タリーゼは、朝に1回1錠を服用するのですが、火曜日から飲みだして、木曜には杖歩行、土日は完全静養として1週間後の火曜日には、階段昇降時に痛みは残るものの、平地をまっすぐ歩くのはできる、という具合に回復しました。
初診から3週間後、歩行自体には問題がなくなりましたが、左足首が若干腫れているので、念のため再診に行きました。医師からは、通風を併発しているんじゃないか、血液検査してみるか?、と提案されましたが、翌週に骨折手術を受けた病院で血液検査の予定があるのでそれをいうと、その時に主治医に判断してもらえばいい、とのことでした。
病院の検査項目には通風に関するものはなかったので、通風があるのかないのか結局わからずじまいでしたが、痛みは軽減しているので、いまは神経痛よりも、膝関節の痛みが増強しているのが気になるのだ、と主治医にいうと、杖を突いたりしていつもと違う歩き方をすることで、普段負荷がかからない部位に負荷がかかり症状が出ることがある、ということで、無理のない範囲のウォーキングや自転車等で脚部のトレーニングをしながら、元に戻していこう、ということになりました。
歩け、歩け、というのは血糖値の数値が高いことから、顔見るたびに言われていることなので、今度こそ、歩きましょう、と思います。
みなさんもお気を付けください。
なお、膝をやられた居合道家としては、正座や立膝の業を立って行う、など、英信流をベースにした新たな業の開発にいそしもうかと思います。
演武会での披露などはできませんが、セルフケアの一環として。



