還暦の赤は魔除けの色なのだそうで、下げ緒も赤い革にした。
還暦祝いでお地蔵さんみたいなかっこするような人は、今どきさすがにいないだろうし、還暦になっても、年金ももらえないので隠居もできず、継続雇用で給料だけ下げられてポジションパワーを取り上げられた上で、同じ仕事をするわけで、そもそもの行事の意味合いも変わってきていると思う。で、本来の行事の意味合いは薄れ、なんとなく赤いものをプレゼントされて身に付ける、というイベントになっているようだ。せっかくなので、いただいた赤いトランクスと靴下を身に付けている。
ついでに日本刀の下げ緒も赤いものに変えた。
ちなみに下げ緒だが、私の場合は、どなたか先輩がそうされているのを見て以来、革紐を使っている。手芸屋さんに行けば「ヌメ革テープ」として売られているが、幅が8㎜か10㎜のものを、2m20㎝切ってもらって使っている。厚みは通常2mm程度である。
それまで使っていた下げ緒は、安物だったからかもしれないが、先端の房になったところがほどけてきたり、こすれる部分が毛羽立ってきたりしたものだが、革紐にしてからはそういうことはない。使い始めは固くて扱いづらいが、しばらく経つと、ほどよく柔らかくなってくる。
本革なので、2m20㎝もの継ぎ目のない一枚革は無理で、2か所くらい継ぎ目があるが、そこからちぎれてきたりは経験していない。平素の稽古で継ぎ目はほとんど気にならない。
値段的には、お店によって違うのだろうが、前回は8㎜幅を2mで1500円くらいだったと記憶している。今回は、前回とお店が違うのだが、10㎜幅で2m20で2400円した。
というわけで、身の回りのものに赤色を増やしていくのは、なんとなく楽しい。
なお「還暦」とかいうと、歳を重ねて、それなりの知恵や見識やそこからくる落ち着きなどが身についていると思われるかもしれないが、期待しないでいただきたい。個人差はあるだろうが、周りを見渡した限り、みんなかなりアホのまま還暦を迎えている。そんなもんなんだろうと思う。