時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

 額と頭の境界標

 ふと鏡を見ると、すかすかと地肌が見えている額の生え際から1.5cmほど下の部分に、ひょろひょろの白髪が2本生えている。

 まるで土がむき出しの更地に、草が2本だけ生えているようだ。

 なんでこんな、何もないおでこから毛が生えているのか。


 不思議な気がして眺めていてふと気が付いた。

これは…。

かつてはここが生え際だったのだ。


つまりは、おでこからいきなり毛が2本生えているのではなく、2本だけが「抜け残っている」のである。

この2本が生えているラインが、かつての生え際であったのだ。

 

これと同じことを、ずいぶん昔に、作家の北方謙三氏がエッセイに書いていたのを覚えている。その時は読んで大いに笑ったのだが。

 

実をいうと、このエッセイの1節を覚えていなかったら、これが「生えてきた毛」ではなく「抜け残っている毛」だと認識できなかったかもしれない。


この2本の白髪は、額と頭の境界標として、大事にとっておかなくてはならない。