時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

ドラマ「エルピス」が教えてくれた。

 数年前、某新聞の公募モニターをやっていた。毎週、アンケートに加え、誌面の感想や批評を書いて提出するのだ。

 その際に、辛辣な批評として、「新聞も自身で取材して記事を書け、週刊誌の後追いばかりで価値がない」と書いて送ったことがある。

 週刊誌の記事は、芸能人やらスポーツ選手のスキャンダルという、当事者や関係者はともかく、世の中的には、雑談のタネくらいにしかならない程度のものから、時に政財界の裏側を暴き、世の中の膿を世間の目にさらす役割を果たしてきた。

 ところがどうでしょう。「エルピス」を観ていると、大手のマスコミが、入手したスクープを、あえて週刊誌にリークし、自らは、その「後追い」という形で発信する、という場面が出てくるのだ。このドラマは、政治権力とマスコミとの不適切な関係を赤裸々に描いて評判なので、この場面も多かれ少なかれ現実なのだろう。マスコミが、いわゆる特ダネを週刊誌にリークする目的は、政治権力からの保身だ。癒着して嘘を書かれるよりはましなのかな。その絶大な政治権力も手製の不格好な鉄砲で崩れようとしているのだが…。

 「エルピス」は明日26日が最終回である。政治家の子息を守るためにでっち上げられた冤罪事件。ドラマは、このお題にどのような決着をつけるのか、はたまた決着をつけられず、膿をさらすだけに留まるのか。決着をつけてしまえばフィクション臭が強くなるが、つけられないまま終わられても視聴者はカタルシスを得られない。どうする?

演技巧者だらけのこのドラマでも白眉だった前田郷敦の演技に委ねるか。