この本が書店で平積みになっていたのは覚えている。先日ブックオフで300円で売られているのを見た。
内容は、これはとんでもなく興味深いルポルタージュだった。綿密な取材の跡が見え、いわゆるタレント本や暴露本のような類ではない。
読む限り、さもありなん、という印象である。小池氏もダメダメだが、ひとりのライターが取材して真実に迫れることを、なんで大手マスコミは放置するのか。
「真実はどうなのかしらないが、こう書いていく方が、庶民どもは喜んで買うでしょ。その方が儲かるからね。取材なんて週刊誌の契約記者がやればいいんじゃないの」
他の人たちはどう読んだのか、ネットの書評を見てみても、大方同じ感想だった。
どのくらい売れたのか、これもネットで検索したが、20万部を超えている、という情報があった。政治家個人をテーマにしたノンフィクションでは異例の売れ行きだとか。
刊行の1年後に都知事選挙があった。本書を読んだ読者なら、少なくとも小池のパフォーマンスは見抜けたはず。しかしこの選挙、与党は候補者を出さず、今見ても、これという対立候補者がいない選挙だったこともあってか、群を抜いた得票数で小池が圧勝した。それでも都民は小池を選んだ。
選挙ってなんだろうかと思う。いわゆる浮動票を持つ人たちは、とにかくテレビのワイドショーレベルの情報で、タレントの人気投票かのごとくに投票しないことが肝心だが、では、何をどう調べて候補者について知ればよいのか…。