時速20キロの風

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読書メモ 「コロナ黙示録 2020年災厄の襲来」海堂尊 2022年7月 宝島社文庫

 文庫の新刊。続編の「コロナ狂騒録 2021五輪の饗宴」も同時に刊行されている。

本書では、クルーズ船の入港騒動からマスクの配布あたりまで、不定愁訴外来の田口先生をはじめ、チーム・バチスタシリーズのおなじみの面々が、コロナに振り回される様子を描く。っても、これ、出てくる政治家とか、出来事の流れとか、そのまんまやけど…。

 さて、どこまでが作家の想像で、どこまでがリアルなのか。当たらずとも遠からず、なところなのか。作者は医師なので、厚労省や医師会の動きや裏側は熟知していると思われるが、政治の舞台裏についてはどうなのか。

 けど、たとえ想像の産物だとしても、普通はそう想像するよね、そうではない言い分の方が、眉唾物だよね、と思うのが普通かな。

 

 平素見聞きする新聞、テレビなど大手マスコミもまったく信用できないし、SNSは左右の論客が、左右に偏った言動を弄して、ののしり合いや口論に余念がない。

 新聞は購読数、テレビは視聴率、SNSはコメンテーターさんの知名度アップとそれに依存した個人の自己顕示欲の発露が目的なのだから、「報道」といっても実態は、競合し合う近隣のスーパーのチラシと目的は同じ。信用する方がバカなんだろう。

 今朝、Twitterを見てみたら、旧統一教会の被害者を救済するために活動している弁護士が、「旧統一教会の被害者を増やさないことを目的に発言しているのであって、特定の政治家を批判することが目的ではない。そう見えるような切り取りはやめてほしい」という趣旨のメッセージを載せていた。

 文章なら、ゲラの校正があるので、そこで訂正できるが、テレビのインタビュー等の映像では、そのような「著者校正」の機会がないのだそうだ。編集せず、そのまんま放送するならまだしも、編集や切り取りをしておいて校正させないというのはありえないと思うのだが。これは第三者機関が激しく禁止するべきでは?

 テレビの影響力は、文章の比ではないぞ。

 

 ちなみに、与党の福田某二世議員が「問題ない」といった、ということで叩かれていたが、これも切り取り前の映像を見たら、「選挙の手伝いをしてもらったとはいえ、政策になんら影響をしていないので、問題はない」というレトリックだった。

 仮にジャーナリストであれば、「本当に影響していないのか?影響はあるのではないか。その影響が、悲劇を生む要因になってはいないか」というところを探っていくべきだろう。中学生でもわかる。

 

 でも彼らは「これで行きましょう。問題ないって言い切った。これ、いけますよ!」「そうだな。視聴者なんて真実が知りたいわけじゃない、話題が熱い間に、さらに火に油が注がれて、セージカ、とか、ゲーノージンとか、自分よりカネも権力も持って、いい目してそうな奴らが大炎上しているのを見て喜ぶんだ。特にこの手のネタは短期勝負だから一気に燃やして稼ごうぜ!」ってなってるんだろうなぁ。

 

 マスコミとか新聞記者って、自分たちはエリートだって社員教育でされるんだろうか。知人の経験だが、某福祉系国家資格を取るための「養成講座」に受講生として参加した新聞記者さんは、20年以上の運営経験がある中で、3本の指に入るクレーマーだったそうだ。3本のうち、2人が新聞記者だったから、その比率の高いこと。

 

 そういえば、某新聞のモニターを半年ほどやった際に、「今は、新聞よりも週刊文春がジャーナリズムを実践しているようだが、それでいいと思ってるのか」と提言、というか文句をいったことがある。その発言は「今週のモニターの意見ダイジェスト」で取り上げられてはいた。週刊文春の名は伏せられていたが。