時速20キロの風

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おばぁはん85歳。2回目のワクチン接種とささやかだが偉大な接遇

 前回から3週間後。無事にワクチン接種を終えた。2回目は副反応が出る率が高いというので気にはしていたが、直後は元気で、第1回目より腫れも痛みもない、と大はしゃぎである。

 接種会場では、注射の後、「きれいな白いシャツ着てはるから、血がにじんで服を汚さないように、絆創膏は2枚重ねて貼っておきますね」と看護師さんに言われたとかで、大喜び。要領得ない年寄りが大挙していてばたばたとしている中で、そんなこまやかな接遇ができるのは、なかなか優秀な看護師さんだと、話を聞いて感心する。注射の跡に貼る小さい絆創膏を1枚余計に貼って、ひとこと添える。それだけで患者は大喜びでその看護師を信頼する。

 病院の世界でも一時接遇研修が流行り、異業種のマナー講師が跋扈した時代があるが、「患者さん」を「患者様」と言い換えたり「患者様はお客様」などとへり下ったり、医療現場の医師や看護師がどこで使うのかもわからない「ソファへのご来客の案内作法」なるマナーを嬉々として教えていた。

 中でも、元CA(たぶんスチュワーデスと呼ばれていた世代の方々)が講師として、立ち姿やお辞儀の仕方や角度を、物差しを持って教えていたが、CAさんが医療者に接遇を教えるのなら、飛行中にエマージェンシーが発生した際に訓練されたCAとしての取るべき態度、を指導した方が役に立つのではないか、と思ったものだ。なぜなら、CAと違って、医療者は日常がエマージェンシーだから。飛行機であれば、常に大きな揺れがあり、天井から酸素マスクがぶら下がっている状況から毎日が始まるのである。そこで、お辞儀の角度を気にするのか。かといって、目を吊り上げてわーわーわめいても客の不安が増長するだけだ。自分もお客も落ち着かせる態度や表情を訓練されていないわけはないと思うのだが。

 当時、何人かの、接遇講師とお話したことがあるが、この話を振っても流されるだけだった。

 さて、その後のおばぁはん、夜の九時ごろ、ちょっと腕が重くなってきた、といってはいたが、いたって元気である。総じて高齢者の方が副反応が後から出る、ということなので、油断は禁物なのだが。

 おばぁはんは、その夜も、いつもの調子で余計なおしゃべりや余計な動作、余計なお世話を繰り返しながら床についた。キッチンの蛍光灯が点滅している。この前の第一回目の時はリビングの蛍光灯が斬れていたので換えたのだが、今度はキッチンだ。年寄りの家は来るたびに何かが不調になっている。元気なのはおばぁはんだけ、なのである。

 翌朝、おばぁはんの体温は平熱で、特にだるさや痛みも感じないとのこと。

なんとか2回の接種をクリアできた。100%安心というわけではないが、感染リスクはかなり減ったと思っていいのだろう。