時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

ついに観た。インド映画「RRR」の圧倒

 少年漫画の王道のような、正義、勇気、絆、愛、友情、努力、勝利、のあらゆる要素を1本の映画にぶちこみ、アクションシーンは荒唐無稽だが、見せ方が達者で迫力満点、しかも要所要所で過剰なくらいに歌って踊るので、3時間かかるのもうなづける。これ、普通なら映画2本分になるのではないか。
 本作はすでにDVDになっていてレンタルもできるが、映画館でやっているのをみつけて劇場で観た。ノートPCの画面で3時間は厳しいと思うが、劇場の3時間で、一回もうとうとしなかった。
 最近は、どんな映画でも一瞬寝落ちする瞬間がある。夏に観た「インディージョーンズ」も派手なアクションシーンの最中に落ちたし、「君たちはどう生きるか」は、何回も落ちた。
 これは映画のせいではなく、こちらの体力の問題だと思っている。
 ましてや、昨今、早起き犬につきあって5時起きの毎日で、睡眠負債がたまりにたまっていて、どうなることかと思っていたが。


 複数人の知人から紹介された。総じていうには、いろいろツッコミどころはあるが、居眠りすることなく最後まであっという間だったし、わけわからんし、とにかく面白いから観てみろ、ということだった。


 この映画、少年漫画でもここまでしないだろうというくらいに、娯楽に徹してはいるのだが、ストーリーのベースになっているのは、インドが英国に植民地にされていた時代の話で、劇中に英国軍の将校が部下の兵隊に、「インド人を殺すために、英国製の一発の銃弾を使うとコストが見合わない(もったいない)ので、銃は使うな」と命じるシーンがある。部下の兵隊は、命乞いをするインド人を木の棒で殴り倒す。

 ヨーロッパの植民地政策は歴史的事実ではあるが、強大な武力で支配していた英国を、インドの英雄が徒手空拳、まさに、勇気と友情と絆で倒すという骨子は、今の英国人はどんな風に観るんだろう。

 支配者としての日本人が暴虐を尽くした挙句、ひとりの中国人青年に叩きのめされる、というストーリーは、ブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」だが、当時の大人はこの映画をどうみたのだろう。当時は私は小学校高学年だったが、ウルトラマン仮面ライダーに飽きたころで、ブルース・リーに夢中になって、おもちゃのヌンチャクを振り回していただけだったが。

 なんてことを考えて観る映画ではなく、頭空っぽにしてひたすら楽しめる娯楽映画なのだが、主人公の行動の動機はそこにあるので、やはりそこは無視できないテーマである。