時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

GEKI*CINE 神州無頼街 劇団☆新感線

 シニアになったので、シニア割引ということで、映画がどこで観ても1200円になる。
今までは、某映画館の無料会員特典で、平日のみ1200円というサービスを利用していたが、これからは土日でも、近所のチャリで行けるシネコンでも、1200円だ。

 とううわけで、いろいろな映画館のサイトをチェックしていてこのGEKI*CINEを見つけた。
 私の若いころは小劇場ブームで、いろいろな演劇を観に行った。中でも新感線はちょっと異色だった。他の劇団の芝居が観念的で文学的?なのに比べ、こちらは大衆演劇よろしくエンタメ路線まっしぐらだった。演劇というよりショーだ。その後、他の劇団が姿を消していく中で、新感線は、小屋を大きくし、著名な役者を主役に据え、がんばっている。

 GEKI*CINEというのは、公演を収録したものを映画館で上映する企画である。たまたまみつけたのは「神州無頼街」というタイトルでこの1月13日に封切されていて、ただいま絶賛上映中だ。福士蒼汰宮野真守が主演、敵役を松雪泰子高嶋政宏らが演じている。

 残念ながらシニア割引の適応外で料金は2200円だったが、派手な歌とダンスと立ち回りの連発で寝落ちなどする暇もなかった。間に15分の休憩をはさんでの3時間20分という長さであるが、だれる場面もなく一気にラストまで連れていかれた。

 舞台を撮影したものだが、複数のカメラを使った映像を編集してあるので、テンポも迫力もある。が、立ち回りのシーンなどは、あまりカット割りを使わず、舞台全体を引いて見せてほしかった。映像的な迫力は減るだろうが、逆に役者がノーカットで立ち回りを続けることの、舞台ならではの生々しい迫力が見えたのではないかと思う。

 それはそれとして、やはり感心するのは役者の体力だ。特に、出ずっぱりの宮野真守は、全編ハイテンションで、叫び、怒鳴り、動き回る。動くのは身体だけではなく、顔面もである。アップになるから細かい表情も全部見える。濃い舞台メイクの顔面を、汗がしたたっているのも見える。幕が開いてすぐは、しばらく遠ざかっていた舞台演劇特有の動きや表情やセリフ回しに、ちょっと引いたところもあったが、これは映画ではなく演劇なのだ、と思い直して、あとは没頭した。

 こういう活動は劇団☆新感線だけなのだろうか。ほかの劇団はやらないのだろうか。ここまで映像的な演出に凝らなくても、引きと寄りの単純な映像で十分楽しめると思うので、ぜひやってもらいたいものだ。