昔、泌尿器科の医師の講演を聞いたことがある。
わりと専門的なテーマだったのだが、講師の自己紹介で、「〇〇病院の泌尿器科の〇〇です。私を呼ぶときは、かならず泌尿器科の、と呼んでください。よく病棟で看護師さんに「泌尿器の〇〇先生」と声を掛けられることがあるのですが、これは「ち〇この〇〇先生」と呼ばれているのとおなじことなので、必ず「か」をつけてください。」といって笑いを誘っていた。その世界では大家のはずなのに気さくでサービス精神旺盛な先生で記憶に残っている。
さて、この小説は「名探偵外来」ということだが、舞台になっているのは泌尿器科外来である。探偵役は泌尿器科医で、転がり込んでくる患者は、泌尿器科あるあるな患者たち。先述の〇〇先生の講義でも、最後に余興のコーナーがあって、「なにこれ?」というような画像が紹介されていた。まぁ、ちょくちょくあるのだそうである。
趣味嗜好はさまざまだし、頭でわかっていても、体や心は止められないんだろう。
そんな「あるある」のひとつが本書の第1話のテーマだったので、この患者に起こった症状が、作者の空想ではなくリアルなのだとわかる。そこをわかって読めたので倍面白かった。
本書全体のトーンはコミカルで、登場人物のキャラも明確で、ライトな感覚で気楽に読めるのだが、症状や治療や医療職者の行動や言動についてはとてもリアルで、医学監修に加え、作者自身も、相当な現場取材をされたのではないかと思う。
女性にもおススメ。というか女性にこそ、おススメ!
男性は、読んでると、先っちょが痛くなります。
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