縁があって、お馴染みの道場がたくさん集う居合の演武会に参加することになった。連盟所属の道場を辞めててからは、一切参加していなかったので、およそ10年ぶりだ。
上座にずらっと居並ぶ各道場の館長クラスの先生方は、たしかに皆さん見覚えがある。
あの先生も、この先生も。皆さんお元気そうだ。だが、10年の時が過ぎている。
もともと、平均年齢が高く、60代の若造を70代の高段者が叱り飛ばす、みたいに、おじいさんのウエイトが高い業界であったが、そのおじいさんたちが10年の時を経て、さらにしっかりと、どこからみても、「おじいさん」になっておられた。もちろん当方も例外ではなく、50のはなたれ小僧が、60の若造になっている。
皆さん矍鑠としており、高らかに笑い、しっかりと演武されている。7段、8段、錬士、範士の高段者である。最高位は10段だ。若造の私が、膝が痛いだの肩が回らないだの言ってるのに、悠々と演武をされている。すごいなぁ、と思う。
ただ、本当に若い人、あるいは入門して日が浅い低段者の数は、10年分増えた、とは言えないようだ。
そしてまた、いくつかの道場で、館長の代替わりを機に、分裂を起こしてしまった、という話も聞いた。分裂は、昔から多い。かつては、連盟そのものも分裂している。
同じ格好をして、同じ動作をしていても、モチベーションやよりどころは人それぞれなのだろう。唯一の、日本刀を用いる日本古来の武芸であるが、この先は衰退していくのかもしれない。そう思うと寂しい気もするのである。