本屋で、これの第2弾である文庫本「青雲篇」が新刊として平積みされていたので、まずは第一弾を、と思って読んでみた。主人公がひょんなことから弓道と出会い、道場に通い始めて~、というお話だが、派手な事件が起こったりはせず、主人公であるまったくの初心者が弓道に出会って、弓道のイロハについて少しづつ知っていく過程が丁寧に書かれていて、それをトレースすることで、読者にも弓道の知識がついてくる。とはいえ、小説仕立てにした弓道の入門書、ではなくれっきとした青春小説だ。
作者は「書店ガール」をヒットさせドラマ化もされている。
居合の演武会に参加した際に、同じ建物内で弓道の稽古も行われていて、見学したことがある。居合もそうだが、和風のロケーションの仲、静かな中に空気が張りつめるような緊張感が漂いっていた。その中で弓を引く型の稽古をしていたのはまだ若い女性だったが、頭上に弓と矢を掲げる、射法八節の「打起こし」の立ち姿がまさに「凛として」いて、かっこよく、思わず見入ってしまったのを覚えている。
居合の方から見ると、弓道も精密な型の動きを要求されてたいへんそうだけど、矢が的に中る、という「可視化できる結果」がでるからそこはいいよなぁ、と思ってしまうのだが、昇段審査でも2段までは、的に中ることよりも、型の練度や作法の正確さが重要視されるということである。型破りでも的を射抜ければいい、というわけではないようだ。
さて、読書メモである。弓道に関する小説、ということで探すと、新本格の我孫子武丸氏の「凛の弦音」が、今年の7月に光文社文庫に入っていて、続編が5月に単行本で刊行されている。こちらも弓道を始めた女子高生が主人公だが、我孫子武丸氏の筆なので、事件を解決する推理小説仕立てとなっているようだ。
日曜の朝早くに駅に向かうと、弓道部の高校生の集団に出くわすことがある。何かの試合なんだろうと思うが、彼らが弓道部だとわかるのは、胴着を着たまま駅前に集合しているからである。剣道部員は防具や胴着が入った大きな専用の鞄を持っているし、居合のおじさんは、紺色の大きな柿ピーみたいな形をした刀袋を肩にかけているが、服装は制服であったり私服であったりで胴着のままの人は見かけない。
あれは、なぜなんだろう…。
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