時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

獅子の口の中で居合の演武

ちょっと前の話です。桜がちょうどピークを過ぎたころ。

この獅子の口の中で居合の演武会がありました。

これ、大阪の難波八阪神社の境内にある獅子殿という建物です。

ひょんな縁で参加することになった会なので、諸々の詳しいことはいまだによくわかってはいないのです。

 

私も長く大阪に住んでおりますが、この獅子殿を見たのは初めてでした。

難波といえば、道頓堀のグリコの看板で有名ですが、この神社は皆さんが知っている難波からはかなり外れに位置していて、観光客の方はここまで足を運ぶ機会は少ないんじゃないでしょうか。

 

演武会当日は、日曜日です。いわゆる奉納演武なんですが、今までの経験では、たとえば橿原神宮でも、住吉大社でも、敷地の中にある武道場が会場になっていて、演武をするのも見るのも、関係者のみ、というパターンでした。

 

ところが今回は境内の真ん中の、いわば舞台のようなところでやるわけですから、参詣者や観光客が、参拝の足を止めて見物している、その前で演武するわけです。

こういうシチュエーションを喜べる人もいれば、勘弁してくれと思う人もいます。当方は後者なので、無駄に緊張しましたよ。もちろん演武の出来は我ながらとほほ、でした。

 

さて、当日は、とても良いお天気でした。参拝客は…、この神社、何か外国の観光客用のガイドブックにでも載ってるんでしょうか。見事なくらい、外国人ばかりです。

皆さん、この獅子殿の前で大喜びで記念写真を撮っていました。

そこへ、キモノ来て、カタナを腰に差したおっさんがぞろぞろ出てきて、やおら日本刀を振り回すんですから、もう外国人観光客の皆さん、真剣な表情でスマホを掲げて動画を撮りまくりです。私なんざ、こんなへたくそを撮ってもしょうがないと思うんですが、先方にはその辺はわからないんでしょうから、舞台の上から、スマホの放列を見て、なんだかバツの悪い思いがしました。

 

また、自分の出番が終わって、そのまま獅子殿の前で、他の方の演武を見ていたら、外国人観光客の親子連れが、遠慮がちに寄ってきて、どうやら子どもと写真を撮ってくれと言ってる様子です。見ると、小学生くらいの少年が、熱いまなざしで見上げています。私は模擬刀ですが、さすがに観光客でにぎわう神社の境内で抜くわけにもいきませんので、突っ立ったまんま、少年とともに先方のカメラに納まりました。本当は抜いた刀を少年に持たせてポーズつけてあげればもっと喜んでもらえるんでしょうけど。

 

 こういう状況だとわかっていたら、外国人の観光客に喜んでもらえるような、たとえば、太刀打ちをアレンジしたハイテンションなチャンバラを見せるとか、いくつかの型を組み合わせて、ちょっと派手目に演出した演武にする、とか何かしてあげれば面白がってもらえただろうな、と思いました。本当にそんなことをしたら、年配の居合道家が激怒するんでしょうけど。

 それにしても、同じ居合でも無双直伝英信流は、動きが地味なんですよね。知らない人は何やってるのかわからないだろうし、手数も少ないのであっという間に終わってしまうし。

 

 とかいいながらも、今年の春はちょっと珍しい体験をしました。