時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

おばぁはん84歳。三度登場す。

 夜の8時といえば、夕食を終えもっともくつろいでいる時間なのだが、そんな時間に珍しく家電が鳴った。出れば見知らぬ老女の声。最初は間違い電話かと思ったが、聞けば母親の近所に住む友人で、約束した時間に現れず、電話をしても出ず、家を訪ねてみたが不在。少し様子を見ようと思い、夜の8時になって電話しても出ないので、家の前まで来たが、いつもはこの時間には閉まっている雨戸が閉まっていない。電気もついていない。とのこと。

 どこかに出かけて迷子になったか、行き倒れたか、家の中で倒れているか。何が起こってもおかしくない年齢で、かつ、ここのところ小ボケネタを連発しているだけに不安になりかけつけた。

 

 で、居ました。玄関先に。親戚のおばちゃんに車で送ってもらってご機嫌で帰ってきたところとばったり。

 多芸なおばあはんの数多い趣味の一つが木目込み人形作りなのだが、親戚のおばちゃんが孫のために木目込みでひな人形を作ったのを見に来てほしいと誘われたのだそうだ。そのまま晩御飯をよばれて、ご機嫌で帰ってきたらしい。

 心配して損したわ、というような話なのだが、近所のお友達との約束はカレンダーに書き込んであったのにすっかり忘れてしまっていたようだ。こちらは連絡をくれたご友人に平身低頭で、晩御飯をごちそうしてくれたおばちゃんも巻き込まれて謝って、玄関先で双方向型大謝罪大会になっているのだが、張本人はけろっとしていて、「あしたの晩御飯作らんでようなった」などと言っている。

 実は約束というのは、月に一回、地域の老人会の有志で夕食用の弁当を作って近隣の希望者に配ってくれる日なのである。配るといっても食材の実費程度の費用は払うわけだが、配偶者をなくして一人暮らしの老人が多くなっている町内なので、ちょっと手の込んだおかずが何品か提供されるお弁当は、楽しみのひとつになっている。それをもらう日なのに姿を見せないので、心配してくれたわけだ。

 お弁当はお友達が預かってくれているというので「お弁当は明日もらいにいく。晩御飯作らんでようなった」ということになるのである。

 想像した最悪の事態にはほど遠い小ボケネタの範疇なので幸いなのだが。

 ブログが、おばあはんの小ボケ日記になってこないように、こちらも平素の見守りを強化しなければと思う。それにしても友人に恵まれた老婆である。幸せなことよの。