時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

たばこをやめて早10年。やめられますよ!やめましょう!

 時折、忘れたころに、JTからタバコが1箱届く。PR用のサンプルだけど、市販されているのと同じ20本入りのパッケージである。タバコと一緒にパンフレットのようなものが入っていて、キャンペーンの案内やらなんやらが書かれている。以前はDVDが入っていたことがあった。イメージCMのようなものが収録されていたと思う。かなり以前に、JTのサンプル提供キャンペーンみたいなのに応募して、会員かなにかになっているんだと思う。

 で、先日久しぶりにサンプルが届いたので、職場で唯一の喫煙者に差し上げたのだが、今はそのたばこ1箱が500円するのだという。もらった本人はよろこんでいたが、500円とは。

 

 調べてみたら、2010年10月に410円に値上がりをしているようだ。私は、それを契機にやめようとおもったはずだ。でもすんなりやめることはできず「タバコを買うのをやめた」といって喫煙者に「1本くれ」とたかって嫌がられたりしていた。でも年が明けて、震災があって、4月になったらすっぱりやめることができた。それからもう10年になるが、今はタバコを吸うなど考えられないし、副流煙にも敏感になっている。もはや立派な嫌煙家に成長している。

 

 禁煙に成功した要因に震災は関係ない。そのころ職場にいて、いつもタバコをたかっていた喫煙者が退職してたかれなくなった、というのが原因としては大きいかもしれない。

 

 400円になったときに、400円を30日として、12000円。やめてこの出費がなくなれば、来月から12000円を小遣いとしてあげます、といわれているのとおなじだなぁ、毎月12000円の小遣いは使い勝手があるなぁ、と思って頑張ろうと決意したことは覚えている。が、実際に禁煙に成功したら小遣いを1万円減らされたので、夢はかなわなかったのだが。

 

 自分的にもっとも大きく影響したのは、コラムで読んだのかテレビで見たのか忘れたが、「タバコを吸う人は、自分の意思で吸っていると思っているようだが、ニコチンの作用で脳がそう思わされているだけなのだ」というコメントだった。

 そうなのだ。値上がりしようと、ほとんど税金払ってるんだといわれようと、健康に悪い、肺がんはつらいぞ、といわれようと「それらの喫煙リスクを正しく理解したうえで、俺は俺の意思で、吸うと決めて吸っている」と嘯いていたのだ。

 ところがそうではなく、ニコチンという毒物の作用で脳から放出されるドーパミンなどの快楽物質に支配されているだけだというのである。

 「なんや、そうやったんか…」

 

 自分で考え自分の意志で決めていたつもりだったが実際は薬物にそう思わされているだけだったのだ。

 

 このことがなんだかものすごくかっこわるく思えて、情けなくなって、タバコをやめてしまった。

 

 ちょうどその頃、駅のホームの真ん中にあった灰皿が、駅のホームの端っこになり、ついに撤去されてしまうというようなことが続いていて、街中でタバコを吸いたくなっても、灰皿のある場所を探すのが大変だった。街を歩いていても常に横目で灰皿を探している状態だったのだが、禁煙したら、それがなくなった。「灰皿探し」から解放されたことによる自由度の拡張は、それはそれは大きいものだった。喫煙者時代には思いもしなかったが、浮いたタバコ代よりも、喫煙場所を探さなくてよい解放感の方が勝っていた。飲食店でも喫煙席に案内してもらわなくても、広い禁煙スペースを使える。世の中がタバコを排除する方向に向かう中、非喫煙者はますます居心地がよくなっていく。メリットばかりでデメリットはなにもない。もともと吸っていない人よりも、吸っていてやめた人の方が、あらゆる場面での解放感が感じられて、ニコチン程度のせこい薬物がもたらすドーパミンよりよほど気持ちがいい。

 ある意味、今のような嫌煙社会だからこそ、禁煙することのメリットが倍増しているともいえるのではないだろうか。

 やめたらわかる。これ、めっちゃええやん。