読書メモ 演劇入門~生きることは演じること~ 鴻上尚史 集英社新書 2021年6月
劇団第三舞台の主宰、鴻上尚史さんの著書だが、タイトルが、どストレートに「演劇入門」。なので、演劇を観たり、作ったり、出演したり、という機会のない人には無用の本だ。なんてわけはない。万人の役に立つ、非常に優れたコミュニケーション論である。そして、マネジメント論であり、問題解決論でもある。
もちろん、演劇論であり、演技に対するテクニカルなことも書かれている。それを知れば、演劇はもちろんのこと、普段何気なく見ているドラマや映画の見方も変わるだろう。それまでは、演技者が自分のキャラでセリフを言い、動作していると思っていたが、そこにはさまざまな経験とテクニックがあり、さらにそれを上回る「心の動き」をテクニックとして見せてくれているのだということがわかる。より深く役者さんの動きやセリフに注視するような見方になるのではないか。
演劇に興味はなくても、ぜひ一読していただきたい名著である。