時速20キロの風

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読書メモ 「歩く江戸の旅人たちースポーツ史から見た「お伊勢参り」谷釜尋徳

「歩く江戸の旅人たち」―スポーツ史から見た「お伊勢参り」谷釜尋徳 晃洋書房 2020.3.30

サブタイトルは本書の一部しか体現していない気はするが、この長距離を、本当に歩いていたのだろうか、どうやって歩いていたのだろうか、実は生きて帰る率が限られた死の行軍ではなかったか、などという疑問が、当時の資料を元に明快に解説されている。その中でも、歩き方、履物、衣類、杖の使い方、についての解説は、現在の日本人がその生活習慣の中で失った身体操法が、当時は当たり前にあったことについて知ることになる。

中でも「方踏み走法」や棒・杖の使い方、など、いまどきなので動画で見ることができればばよりわかりやすいのだが、古い文献の文章や当時の絵を頼りに想像するしかないのが残念である。

歩行方法もさることながら、行程は?宿は?路銀はどうした?など、伊勢参りに象徴される長距離徒歩旅行のあらましを、残存する道中記を分析することで明らかにしている。

文章も読みやすく、この手の本にしては珍しく、一気読み、してしまった。