時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

読書メモ アウトゼア 未解決事件ファイルの迷宮 前川裕 光文社文庫

 10数年ぶり?に、通勤電車の中で文庫本に読みふけって、降りる駅を乗り過ごしてしまった。

文庫本の書名は「アウトゼア 未解決事件ファイルの迷宮」前川裕著 光文社文庫のオリジナルだそうだ。作者は元新聞記者だそうで、たしかに文体も新聞記事っぽく、余分なドラマは描かず、冷静に事実を追っていく。

 元新聞記者が、未解決事件を小説の形式で追及、と裏表紙の概要に書かれている通り、実際の未解決事件の真相を、「あくまでもフィクション」として短編化している。

 元の事件については、各短編の巻末で触れられているが、題材となった事件と小説を見比べてみたい欲求にかられる。そして、たぶん記者として取材したのなら、「フィクションです」といいながら、マスコミが絶対に報道できない事実が多分に書かれているのではないか、という憶測で読んでしまう。すると、ここに書かれている「まるで小説のような怖いお話」、が実際には、どこにでもいるであろう市井の人々による、ちょっとしたきっかけが原因の日常の姿、なのではないかという気になってくる。月並みだが、同じような事件が、明日、突然、あなたの身に起こるかも、しれない、という言葉が想起され、思わず周りを見回してしまうのだ。