デニム作務衣に出会う
腕が上がらないので、頭からかぶるシャツは着にくい。ワイシャツの類は、右腕を下げたまま袖を通して、そこから苦労して左腕を通す。やたら時間がかかるし、ちょっとした動作で右肩が痛む。そういえば病院で着ていた前開きの病衣は楽だったな、と思ってよく考えたら、あれは作務衣と同じ構造になっている。右肩が動かなくても着やすい、という点では、浴衣も同様なのだが、浴衣の場合は、トイレの際に裾を腰の上までからげないといけない。その動作は絶対に無理だ。作務衣なら上下がわかれているし、腰の部分はゴムなので、トイレもしやすい。同じ構造の衣装としては甚平があるが、真夏用なのでまだそれで出歩くわけにはいかない。作務衣なら近所の散歩やコンビニくらいなら着ていける。
作務衣に似たものとしては居合の稽古で使っていた剣道着の上着があるのだが、腰は帯と袴で締める形なので、前合わせの紐の位置が高くて裾がひらひらとはだけてしまう。
というわけでネットで探して、デニム作務衣を購入した。以前、デニム着物を買ったので、デニム生地の方が年寄り臭く見えないだろう、ということで、今回もデニムのものを探した。それにデニムは手ごろな価格帯の商品も多いのだ。
夏に着る気はないので、春秋の気候で着れそうな厚手の8.5オンスのものにした。8.5オンスのデニムは、デニムのシャツほど薄くなく、ジーパンほど厚くない、その中間くらいになるのだろうか。少々ごわつく感があるが、もちろん動きづらいというようなことはなく、しっかりした生地という感じである。中に汗取り用にTシャツを着たいところだが、Tシャツを着るのも厄介なので、薄手の腹巻をお腹から胸の方までひっぱりあげてみた。
足元は愛用のコーナン特性の軽作業靴「親方満足」である。これが、持っている靴の中でもっともすべらない。とにかく転ぶなといわれている。転べば無意識に手をついて支えようとする。そうした場合の弊害は想像に難くない。
というわけで、作務衣と軽作業靴、といういで立ちで、退院直後を過ごしている。
割と気に入っている。
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