時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

読書メモ 「廃墟の白墨」遠田潤子著 光文社 2019年9月

 新聞の書評で見かけた。まったく知らない作家だった。

読んでみて、これは面白かった。ハラハラドキドキのミステリーとか、そういうのではなく、静かな読書感である。設定そのものが、非日常的でファンタジー感もある。が、ファンタジーという語感から想像されるようなメルヘンでもない。

 心に傷を持つ人たちの、それゆえの心優しさが不幸を呼ぶ、救いのない話なのだが。

気が滅入る、というより、せめて救われてほしい、という祈りをともなう読後感だった。

不思議な小説だったが、小説ってこういうことができるから小説なんやな、と思った。