読書メモ これは面白い!「6人の嘘つきな大学生」朝倉秋成 角川文庫
- オセロゲームのように、白一色になっていた盤面が、ひとつの駒が置かれたことで、パタパタと黒一色に変わる。さらにもうひとつの駒が置かれたとたん、今度は白一色に。
そんな感じの小説である。
面白い。
ミステリーではあるが血なまぐさい場面は一切ない。
が、とてもサスペンスフルである。
大学生の就活の話で、
多くの大学生があこがれる新興企業の最終面接に残った6人が主要な登場人物となる。
こんな設定で、こんなに面白い話が作れるというのは、
ある意味、就活そのものが、どこかいびつなんだろうと思う。
自分自身、最初の就職時も、次の転職時も、就活や面接のことは良く覚えている。
また、入社後、自分が対応した今いる社員さんの採用面接についてもよく覚えている。
他のことはほとんど忘れているのに。
なので社員さんの印象は、その時のままなのだ。
長年勤務して、40代も半ばになった社員さんの印象が、面接に来た20代前半から半ばのままなのである。何かの機会に実年齢を聞いて、「えー、そんなになったの?」とびっくりする。もちろん自分も同じだけ歳をとっているのだが。
やはり就活っていうのは、求職側も、求人側も、すごくたいへんなんだということだろう。
ちなみに、会社員人生を左右するのは、大企業であれ、中小企業であれ、その職場にどのくらいなじめるか、というか、なじめる職場に出会えるか、ではないかと思う。
寄らば大樹、なのは福利厚生面で重要だが、日々居心地よく過ごせるかどうかも、大きい。
さらにアドバイスをするなら、高齢になった創業者がひとりで頑張ってる会社はやめといた方がいい。「裸の王様」「ドン・キホーテ」のお話を実体験できるだろうから。
話がそれたが、この小説、映画にもなるようだけど映画にできるのかな?
できればその前に、極力予備知識なしで読むことをおススメします。
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