時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

映画 シン・仮面ライダー / 映画館に集まれ50年前の少年たちよ

 シニアになったので、日曜の朝から、自転車に乗って、近隣のショッピングモールに入っているシネコンに封切直後の映画を観に行く、ということができるようになった。

 

 使い倒すぞシニア割!

 

 今回鑑賞したのはシン・ゴジラ、シン・ウルトラマンに次ぐ「シン・仮面ライダー」である。シン・ウルトラマン同様、テレビをリアルタイムに見ていた世代なら反応するであろう場面がいくつもあって、我々世代ならではのお得感を感じた。

 映画が終わって、館内に明かりがついた時、後ろに居た中学生らしい少年らが、「おっさん率、高!」とかいっていたが、たしかにおっさん率が高かった。座席の背もたれからぽこぽことのぞく頭頂部が一様に薄い。しかも、ほとんどがおひとりさまだ。


 怯むな。仮面ライダーは孤高のヒーローだ!


 ちなみに、私が仮面ライダーの第1話をテレビで見たのがたしか小学校2年。その時、庵野監督は4年生くらいだろうか。カルビー仮面ライダースナックを爆買いして、カードを集め、お菓子に飽きて捨ててしまったりして世の中を騒がせたどまん中の世代である。
 
 この世代のこだわりは、旧1号だ。当時の小学生には読めないと思うが、怪奇蜘蛛男、恐怖蝙蝠男、といったおどろおどろしいサブタイトルで、上半身だけのチープな被り物。倒された後は、泡になって消えてしまう、その特撮がびっくりするほどちゃっちい、という陰気で怪奇で暗い作品だった。

 藤岡弘氏が撮影中の大怪我で13話で降板。翌週の2号ライダー編からは、仮面のデザインもカラフルになり、変身ポーズが加わって、子供ウケするにぎやかでで明るいイメージに。ライダーキックで倒された怪人はドカーンと爆発。

 仮面ライダーの人気が急上昇するのはこの頃からなのだが、やはり最初に強烈なインパクトを受けた旧1号編の、不気味でおどろおどろしい雰囲気が薄まっていくのは、子どもながらに一抹の寂しさを感じたものだ。

 

 というわけで「シン・仮面ライダー」である。

 ライダーのビジュアルは、最小限のアレンジにとどめられ、テレビで見ていた仮面ライダーのあの顔が維持されている。まずはそれが何よりだ。庵野監督、ここは、さすがに同世代。わかってらっしゃる。

 サイクロン号は、かなり進化している。物語を構成する大枠の世界観は、大枠では変わっていない。ディティールについては、当時子どもだから気にしてなかったけど、今見たら、「なんでやねん」といいそうな雑な部分が、今風に整理されていた。
 そして、シン・ウルトラマン同様に、BGMや音響も当時のままで、50年前の少年は、安心して鑑賞できる。同世代の庵野監督は、そこを裏切りはしない。

 また、ネタバレになるので書けないが、庵野監督のサービス精神なのか、サプライズも多く準備されている。

 個人的に気になったところは、蜘蛛男など怪人も仮面をつけている設定で、ビジュアルがメカ風なことと、アクションシーンが、カット割りが多く、動きの激しいCGで目がついていかないあたり。CGもチープだ。

 そもそも仮面ライダーの戦闘シーンは飛び道具を使わない素手の格闘が基本なので、そこについては、絵面のスピード感や迫力が今時よりも薄まってもいいので、CGなしの擬闘・殺陣で見たかった。

 あとは、本郷猛と一文字隼人役に、しぶめで個性的な演技派の俳優さんをキャスティングしたところ。若手のイケメンタレントの方が客は入ったかもしれないが、素顔の時の芝居にこだわったのだろうか。それと、この映画は12歳以上という年齢制限がある。小学生は見ることができない。その原因は、オープニング早々の映像にあるのかも、と思うが、その映像は、私にとっては、これから始まる130分が満足いくものになりそうな予感を大いに感じるシーンだった。
 

 当日は、入場時に係のお兄さんから、袋入りの仮面ライダーカードをいただいた。知らなかったが、観劇の特典のようだ。ネットでチケット予約するのがやっとのおっさんは、そんなおまけがもらえることなどまったく知らなかった。

 袋には、ネタバレになるので見終わってから開封してくれと書いてある。その意味は、映画を観た後ならわかる。

 家に帰って袋を開けてみた。写真がついたカードが2枚、入っていた。

 その2枚は、仮に袋入りではなく、カードをずらっと並べてもらって、その中から好きなカードを自由に選べ、といわれたら、絶対に選ばないだろう写真で、そこはちょっと残念だったが、ネットで調べたら、そのうちの1枚は、キャストが役名を自筆で書いたレア物なんだそうだ。どうやら「あたり」だったらしい。ごめんね一文字隼人。

 

次は、ばりばりの大人向けで「シン・ウルトラセブン」とかどうだろう。

せっかく侵略者から守ってやったのに、恩も忘れて、地球人同士でくだらない戦争を始めた地球人に対して、ウルトラセブンは何を思い、どういう行動を取るのか。

 正義や平和を守るというが、地球を支配し、仲間を差別し、私利私欲のために殺し合い、破壊を顧みない人類を守ることが、地球にとって、否、宇宙にとって、果たして真の正義なのか。本当に守るべきは何なのか。そのあたりをぜひ。