時速20キロの風

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読書メモ 「嫌われた監督」鈴木忠平 2021年9月 文芸春秋

 久しぶりの、半徹一気読みだった。

 

 落合博光は中日をどう変えたのか。というサブタイトルがついているように、中日の監督時代の落合について書かれたスポーツノンフィクションである。

 中日ファンではないし、落合が中日の監督だった頃は、子どもが小さくてプロ野球も新聞で結果を見るくらいであまり記憶がない。それでも完全試合目前の投手を8回で交代させたエピソードは覚えている。それについても触れられている。

 本書の構成で面白いのは、落合本人が語らない人だから、その周囲にいた人たちから取材をしてその時の状況をレポートしているところだ。

 監督として勝つことだけを考え、勝つために考え、行動し、実際に勝ってきた落合のマネジメント術は、たとえば星野仙一とは真逆かもしれない。

 星野仙一のようなヒロイックなかっこいいリーダーになれそうにないキャラの人は、落合流を参考にしてもいいかもしれない。まぁ、嫌われるけど。少なくとも慕われないだろうけど。

 野球の技術や駆け引きの詳細も垣間見れて、そういう解説がある中継なら、テレビの野球観戦ももっと面白くなるだろう。テレビ局に忖度して、人気チームのファン代表として、贔屓の引き倒しのような感想ばかりいってる解説はうんざりなんだが、そういう方がいい人がいるのかな。