時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

居合 試し斬り

 畳表を丸めて水に浸したものを本身の刀で斬ります。刃筋が通れば、力を入れずにさっと振るだけでスパーンと抵抗なく切れてしまいます。切り口もきれいです。刃筋が通らなければ、どすっと刃が畳に食い込むだけだったり、斬り落とせても切り口がささくれ立っていたり、まったく斬れずにどんと叩いただけになってしまったり。これがなかなか難しいのです。

 模擬刀での型稽古の場合は、風を斬る羽音がビュンとかヒュンとか、時には金属的なキンという音がするので、それで刃筋を判断していますが、それの見える化ですね。

 畳も用意していただき、日本刀もお借りしての体験でした。

  右の袈裟斬りはなんとかなりました。それにくらべて左の袈裟斬りは不安定。脇構えからの水平斬りは、刃がどすっと畳に食い込んで止まってしまい切断にはいたりません。斬ったというより、叩きこんだ、という感じです。今の技術だと、居合の要である抜き付けの一刀で畳を両断するなんてのは、ちょっとイメージしにくいですね。

 とはいえ、普段は型稽古のみなので、こういう風に実際に物を斬ってみることで、刀とはこういう道具だし、もちろん、畳を斬るためではなく人を斬るためにあるのだな、と思うと、立てた畳が人だとして、そんな歯ぎしりの音も聞こえそうな「目の前」に、死ぬか生きるかで必死になって、人生最大の興奮状態にある人間が日本刀を持って立っていると思ったら、すくんでしまって、畳表のようにあったりと切り捨てられてしまうんじゃないか、と思ってしまいます。怖い、怖い。

 

 昨日見た「燃えよ剣」でも、新選組の乱闘の後には、地面に指がいっぱい転がっていた、というエピソードが語られていましたが、実際はそうなるんだろうなぁ。

 大昔に、タイのバンコクで、軍が小遣い稼ぎでやっているという「射撃体験」に参加して、実際の軍用拳銃を何発か撃ったことがあります。その時は射撃練習場の奥に転がしてあるコーラの空き缶を的にして撃つのですが、実際はコーラの空き缶ではなく、銃で武装して、死ぬか生きるかで必死になってる人間がその辺にいて、こちらを殺そうと銃を構えている、と想像したら、びびって気絶しそうになりました。

 日本刀も拳銃も、人殺しのためだけの道具です。そのために作られ、それ以外に何の用途もないのです。なんてことを改めて思った一日でした。