時速20キロの風

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読書メモ 「魔眼の匣の殺人」 今村昌弘 東京創元社 2019

 映画にもなった「屍人荘の殺人」の第2弾。映画のキャストでいうと、神木隆之介さんと浜辺美波さんが再度登場して再びクローズドサークルにおける殺人事件。オカルトとミステリの融合。このパターンはこの作者の発明なんだろうか。1作目の衝撃も相当だったが、本作も十分に楽しめた。小説のラストでは第3弾の「匂わせ」もあったので乞うご期待、というところ。

 ミステリは小学生時代に、ポプラ社の少年探偵団シリーズを読んで衝撃を受けて以来読み続けているのだが、理系パズル脳に欠けるので、理屈っぽいところはついていけずに読み飛ばし気味。細かい伏線を見つけてなんとか正解を出そうという意欲にも欠けるので、謎解きには参加せず、ひたすらサスペンスっぽい部分を楽しんでいる、というミステリ愛好家には眉をしかめられるような読者なのだが、この小説もそんな感じで理屈っぽい部分は意欲をなくして読み飛ばし気味。探偵さんが関係者を一堂に集めての謎解き場面を見て、答え合わせを見物する。

 そこまでだと「ふーん」なのだが、そのあとに「えーっ」が来て、「おー、そうか」となり、ラスト2行の「匂わせ」で、第3弾も楽しみやなぁ、と思わせる。若いのに、なかなか達者な作者である。