時速20キロの風

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なりたい職業の第1位「会社員」はコロナの影響?

 小中学生に聞く、昔からあるアンケートだが、1位が「会社員」になったそうだ。昨今はyoutuberなんてのが上位に入ってきて時代の変化を感じていたが、ここへきて「会社員」。

 「会社員」って職業じゃなく雇用形態のことで、その勤め先の「会社」なるものがやってる事業は多種多様だし、その会社の中で「会社員」に割り当てられる仕事も多種多様なのである。

 これはやはりコロナ禍でのリモートワークの影響なんだろうなぁ。「めっちゃ楽そう。コロナでも給料入ってくるし」とか思われたんじゃないだろうか。

 私の知り合いも「リモートさせられて会社に来るなと言われている。けど、メールチェックとズーム会議くらいですることないから、朝10時からビール飲むようになってしまって肝臓の数値が悪くなった」とかいっていた。その後リモートをやめて通勤するようになったら数値は元に戻ったらしいけど。また別の知人は「リモート中のチャレンジしたいことができた」というので、何にチャレンジしたのか聞いたら「散髪」だという。リモート勤務の平日の午後あたりに散髪屋に行ったそうで、それがぜひやってみたかったこと、なのだそうだ。冗談ではなく本気だ。軽く興奮しながら教えてくれた。ええおっさんのくせに。

 

 ふーん。昔「サラリーマンにはなりたくねぇ」と誰か歌ってたが、その「サラリーマン」自体も「給料をもらって生活している人」ってことで、「サラリーマン」という職業があるわけではないのだが。

 歌にするほどなりたくなかった「サラリーマン」とは、ねずみ色の背広を着て、ネクタイを締め、似たような髪形をして、決まった時間の満員電車の同じ車両に同じドアから乗って通勤する人たち、くらいの認識だっただろう。その灰色のサラリーマンたちが「会社」に着いてからどんな仕事をしているのかは、みんな知らずに歌っていたと思う。

 そんな「サラリーマン」は、束縛の代名詞で、長らく家庭や学校という束縛の中にいて、卒業してもなお、生活していくために制服を背広に着替えて新たな束縛の中に身を置くことの閉そく感にさいなまれた昔の少年たちは、夜の校舎で窓ガラスを割ったり、盗んだバイクで走りだしたり、したがったのかもしれないのだ。まぁ、ほとんどの人はそんなことを思うだけでしないから、したようなことをいう人をカリスマにしたてたのだと思うのだが。今は「うっせぇわ」か。時代が変わっても、こういうところは同じかと思って歌詞を見ればそれこそ「会社員」の愚痴みたいで、なんかせこさを感じてしまった。 

 そんなことはいいのだが、なんというか小中学生が思う「なりたい職業」については、やはり「かっこよさ」とか「あこがれ」がベースにあって欲しいなぁ、と思ってしまう。

 医者、看護師、パイロット、消防士、警察官(刑事)、教師、お花屋さん、ケーキ屋さん、などなど。

 あんなに忌み嫌われた「会社員(サラリーマン)」が、たぶん楽そうなのと安定してそうなのを理由に第1位になってしまうのは、なんとなく世の中の希望のなさの現われのようで残念な気がしてしまうのである。

 とはいえ、リアル会社員は、相変わらず保身優先で寄らば大樹と心得て生きているのだから、子どもだけに、夢だの希望だの求めてみてもしょうがない。それこそ「うっせぇわ」だわ。