時速20キロの風

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読書メモ 歴史認識とは何か~対立の構図を超えて~ 大沼保昭著 中公新書 2015.7

 Twitterは見るだけにしている。twitterを見てよかったのは、新聞やテレビのワイドショーやニュースショーとはことなる角度の意見を知ることができる点。左右でいえば右寄りの意見である。その視点は、案外素直に納得できるものが多く、いわゆるマスコミの論調というのが左寄り、であることや、読者・視聴者に一定の方向を印象付けるために、言葉の切り貼りや演出がかなりなされていることも知った。それらが行き過ぎると、「報道」ではなく「誘導」になってしまう。

 そういう点で、視点の異なる意見やモノの見方を同時に知ることに興味を持って、左右の両陣営の著名人をフォローしているのだが、そうすると、それぞれの陣営で大きい声を出す人と、その声に信者か太鼓持ちのように媚びてへつらうフォロワーと、また、その声に対してはすべて批判する人、論よりも人物を誹謗中傷する人、が出てきて、口喧嘩、ならぬ文字喧嘩合戦が繰り広げられる。

 たぶん面と向かえば声も出せない小心者でも、というかそういう人ほど辛辣に感情を吐いてしまえるんだと思うので際限がない。この「文字喧嘩」の世界では、それによって訴訟になったり、生き死ににもかかわってしまうような事件が起こっていて、もはや冗談では済まない。

 

 さて、私が見ているのは、主に政治に対するスタンスの左右をフォローしているので、どっちもどっち、とか、どっちともとれる、というものだけでなく、たとえば南京大虐殺はあったかなかったか、みたいに、個人の感情やモノの見方によらなくても、歴史的に検証できるんじゃないの、と思うことの論争も多い。戦時中だからそんなことも世界中の戦地ではあったでしょう。でもそんなに極端な数じゃないんじゃないの、とか、そうしろと命令してはいないのかもしれないけど、部隊が暴走してそんな事態が起こってることを上層部は知ってても、意に介さなかった、だってそれどころじゃないよ、戦争なんだし、しょうがないじゃんみたいなこともあったんじゃないの?と思う。

 中学生の頃、珍しく父親に連れられて「八甲田山」という映画を見たけど、どこまでも正しい高倉健と、しがらみに勝てず非業の死をとげる北大路欣也と、自身の見栄で部隊を全滅させたダメ上司の三国連太郎、を中心に、極限状態での組織や集団におけるさまざまな「人間の姿」が延々と描かれていた。

 

 だから、そんなことになってしまうから戦争はしちゃいけないんだよ、というのがたったひとつの正解だと思っている。

 

 そんなときに知ったのが「歴史認識とは何か~対立の構図を超えて~」という本だ。左右に寄らず、客観的に歴史を検証することと、どこに着目することで左右による解釈の違いが生まれるのか、ということにも触れている。初版が2015年なので、もう5年も前になる。こんな本が5年も前からあるのに、いまだに左右でバトルしてるってことは、これは、巨人と阪神どっちが好きか、みたいな話と同じなのかもしれない。

 ちなみに映画「八甲田山」ですが、名作です。そして、「高倉健」だけがいない「八甲田山」の世界は…、今いる会社がそんな感じですけど(泣)

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