時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

王将になってしまうなぁ。特に京都王将。

 昔々の話ですが、京都で下宿をしながら大学生をやっていました。当時はいわゆる下宿屋で、風呂なし、便所共同、コンロは10分10円とかのコイン式でした。電話は玄関先にピンクの公衆電話があるのみ。SNSはもちろん、携帯電話などSFの話で、友人の連絡方法も、下宿生なら電話もないので直接会いに行くか、その時間に立ち回ってそうなところを予測して探すか、今から思えば実に非効率ですが、当時はそれが当たり前でした。

 

 大学内には複数の食堂がありました。一部が夜も開いていて、下宿生はそこで安い夕食をとることができますが、やはり飽きてくる。私の下宿のあるあたりの商店街は、大学生と東映の大部屋の俳優さんを対象にした安い食堂がいくつもありましたので、下宿生たちは、学食とそういう安い食堂を使い分けて利用していました。

 そんな折です。校門の前で、王将が「餃子のタダ券」を配りはじめました。それも割引券1枚とかではなく、何枚かが冊子になったもので、回数券みたいな感じです。1枚で餃子1人前が無料。それが何枚綴られていたのか忘れましたが、ミシン目から切り取って使うのでした。

 スマホはなくても「タダ券配ってる」という情報は、どういう方法だったのか忘れましたが、たちどころに学生の間でシェアされ、正門でもらい、裏門でもらい、また正門に回ったりして、タダ券を集めました。

 その後は、タダ券を持って王将に行き、焼き飯やラーメンなど単品を頼んで、餃子はタダ券で、というパターンが増えていきました。

 下宿の傍の王将は、大学生のお客がほとんどだったんではないかと思いますが、「学生セット」なるオリジナルメニューがあって、大皿に、焼き飯一人前、焼きそば一人前、唐揚げ、だったかな、あたりが乗っていて、体育会系の学生に評判でした。私は体も小さく食も細かったので、見ているだけでおなかがいっぱいになるようなメニューでした。

 そんな感じで徐々に王将へ行く頻度が高まり、ピーク時は週に3回は行ってたと思います。

 とにかく、安くて腹いっぱいになる、というのが最大の魅力でした。最近閉店するということで話題になっていましたが、30分皿洗いしたら飯代タダ、みたいなことも、貧乏学生相手と思えば、当時の京都だとありうる話です。京都は学生にはすごく寛大でしたので。お金がなくても「出世払いでええ。しっかり勉強して、偉い人になって、返してくれたらええから」というようなところがありました。

 さて、王将ですが、そんなこんなで学生時代には本当に世話になりました。で、4年間で「王将の餃子」じゃないとだめで、定期的に「王将の餃子」が無性に食べたくなる、という刷り込みをされてしまったのです。舌への刷り込みですね。

 その後、社会人になって、さらにいい歳になって、食べる量は減ってきましたが、やはり今でも王将は外食の第一選択になってます。はい。昨日も行きました。当時と比べればファミリー客や女性客も増え、かなりあか抜けてしまってますが、やはり「餃子の王将」は私のなかでは永遠に不滅です。