時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

読書メモ

読書メモ 萩原健一とは「ショーケン 天才と狂気」青志社 2021年5月 大下英治

マカロニ刑事の殉職シーンに衝撃を受けて以来、ドラマ、映画、音楽をずっと追いかけていた。ファンとか憧れとかいうより、見続けなければならない課題のように感じていた。ショーケンの映画やステージを楽しめないような奴にはなりたくない、と思っていたよ…

「ワイルド7」望月三起也  全48巻 一気読みしやがれ

今週のお題「一気読みした漫画」 1969年~1979年。少年キングに連載された漫画で、テレビドラマになった時はその主題歌がかっこよすぎた。が、ドラマ自体はあまり記憶がない。見ていたはずだが、それほどかっこよくなかったのかもしれない。 だいぶたってか…

読書メモ 本のエンドロール 安藤祐介 講談社文庫 2021年4月

作家や編集者が題材になったお仕事ドラマはよくあるが、本書はさらに裏方の印刷・製本に携わる人たちが主人公の物語である。印刷・製本というと、出版のプロセスでいうと最終局面で、締め切りぎりぎりになってようやく入稿した原稿を、無理を言って深夜まで…

読書メモ 紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 歌田年 宝島社 2020年

第18回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作である。なんと、本体の紙が8種類使われている。宝島社らしい遊び心だ。それぞれ厚みや見た目、インクの乗りなんかが微妙に違う。はずだ。わざわざそんな手のかかることをしているのだ。だけど、おーっ、本なん…

読書メモ いろいろな優しさに出会える「そしてバトンは渡された」瀬尾まいこ 文春文庫 2020年9月

2019年の本屋大賞受賞作である。気にはなっていたが、主人公が女子高生で複雑な家庭環境で、というあたりで重いのかなぁ、と思って敬遠していた。 なんでもこの秋に映画化が予定されていると聞いて、さらに、石原さとみさんがキャスティングされていると知っ…

読書メモ 『生かさず、殺さず』 久坂部羊 朝日新聞出版 2020年

これは小説のふりをしたノンフィクションですね(笑)著者は現役の医師です。上質なエンターテイメントの書き手であり、現代の医療に関するリアルで、かつ、重要な問題提起が含まれた作品が魅力です。 今、病院に入院している患者さんは高齢者がほとんど。そ…

読書メモ 健さんを探して 相原斎と日刊スポーツ特別取材班 青志社 2015

中学生の頃だったと思う。父親が映画に誘ってきた。「リーダーが悪ければ組織は全滅する」とかなんとか気負って言ったあと、お前もこういう映画を観ておくといい、という。高倉健主演の「八甲田山」だった。当時、この映画でリーダー論や組織論を語るビジネ…

読書メモ Let’s ゆるポタライフ こいしゆうか 山と渓谷社2019

たのしくおしゃれに自転車生活はじめませんか? というキャッチが入っている。マンガである。エッセイ漫画というらしい。登場人物のOLらしき女子2人が、自転車にはまった知人から「遊びながら痩せられる!」と聞いて自転車をはじめようとするところから話…

読書メモ 「魔眼の匣の殺人」 今村昌弘 東京創元社 2019

映画にもなった「屍人荘の殺人」の第2弾。映画のキャストでいうと、神木隆之介さんと浜辺美波さんが再度登場して再びクローズドサークルにおける殺人事件。オカルトとミステリの融合。このパターンはこの作者の発明なんだろうか。1作目の衝撃も相当だったが…

読書メモ 真実-新聞が警察に跪いた日 高田昌幸 2014年4月25日 角川文庫

新聞の書評か何かで見て興味を持って手に入れた本。文庫で2014年が初版。けっこう古い。何気なく読みだしたのだが、清水潔氏の「殺人犯はそこにいる」(新潮文庫)に匹敵する衝撃的なノンフィクションだった。 北海道警察の裏金工作を暴いた北海道新聞が、道…

読書メモ 「鉄路の果てに」清水潔 2020年5月 マガジンハウス

著者は「桶川ストーカー殺人事件」「殺人犯はそこにいる」などのドキュメンタリーで高い評価を得ているジャーナリストである。本書は、シベリア抑留体験がある亡父が残したメモに書かれた「だまされた」の文字の意味を知るべくシベリア鉄道の旅に出た旅行記…

読書メモ ちょっと驚きの読書体験 「流浪の月」 凪良ゆう

2020年本屋大賞受賞作ということで前から気になっていたが、ようやく手にした。冒頭から最後まで、心が痛い、というか、ひりひりしっぱなしの、なかなか衝撃的な読書体験だった。かといって決して心が深刻に重くなるという風ではない。なんとなく一気読みし…

「悲素」帚木蓬生 を読む。

2015年に新潮社から単行本の初版が出ている。文庫になったのは2018年だ。全く知らなかった。当時は話題になったんだろうか。それとも、もう事件そのものの関心が薄れて本書もさほど話題にならなかったのだろうか。 この本は、小説である。つまりフィクション…

読書メモ 「バラカ」  桐野夏生 集英社文庫 

作者本人が、新聞のコラムで触れていたので気になって読んでみた。後で別のコラムを読むと、震災は構想中に起こり、物語に組み込まざるをえなかったとのこと。震災後の日本と並走しながらの連載だったようだ。 興味があったのは、あの震災は、作家的想像力に…

読書メモ 氷属性男子とクールな同僚女子

この漫画と出会ったのは、たぶん、インスタグラムのCMだったんじゃないかな。 けっこうはまってしまった。まず、登場人物の顔がいい。クールというだけあって、過分な芝居をさせないのがいい。物語というより小さいエピソード集なのがいい。主人公が、シャイ…

読書メモ 時刻表2万キロ 宮脇俊三 河出文庫 1980.6

本屋に行って、ぶらぶらと棚を見る。あぁ、こんな本があるのか、あの本が文庫になったのか、と発見する楽しみがある。今日はそれでえらく懐かしい本と再会した。 「時刻表2万キロ」宮脇俊三 河出文庫 1980 この表紙の絵。40年前、この絵に惹かれた。この絵を…

読書メモ 読後のムネアツ保証! 「夏の騎士」 百田尚樹 2019.7 新潮社

たぶん、文学賞とかとは無縁なんだと思う。文学とか文芸とかいう世界にもなじまないんだと思う。細かいことを言えば粗もあるかもしれないし、ご都合主義的、安っぽい「お約束」の展開などという人もいるかもしれない。 しかし、四六判254ページの本を数時間…

読書メモ 歴史認識とは何か~対立の構図を超えて~ 大沼保昭著 中公新書 2015.7

Twitterは見るだけにしている。twitterを見てよかったのは、新聞やテレビのワイドショーやニュースショーとはことなる角度の意見を知ることができる点。左右でいえば右寄りの意見である。その視点は、案外素直に納得できるものが多く、いわゆるマスコミの論…

読書メモ キネマの神様 原田マハ 文春文庫

山田洋二監督による映画化が決まっていて、主役は志村けんさんがキャスティングされていたのだが、新型コロナで入院となり降板。その発表の直後、志村さんは亡くなってしまう。「天才!志村どうぶつ園」を長年毎週観ていたので、驚きは大きかった。 映画は、…

襲来(上・下)帚木蓬生 講談社文庫

上巻を読んでいると思っていた。だから上巻のラストを読んで、この後に下巻があるということは、下巻は第2幕として新たにスタートするのかと思っていた。で、読了して書皮を外したら下巻だった。 え、ということは下巻から読んでしまったのか!と思ったけど…

読書メモ アイドルやめました。 大木亜希子 宝島社

著者は、AKB48グループの中のSDN48でアイドルをしていた。今は、フリーのライターとして活動している。本書は、そんな著者が、自身と同様にAKBグループを辞めたメンバーのその後についてまとめたドキュメントである。 2011年にAKB48は「フライングゲット」で…

読書メモ 死の淵を見た男 門田隆将 PHP研究所

想像を絶する巨大津波が原子力発電所を襲った。予測すらしなかった全電源喪失。メルトダウンは防げるのか。守るべき故郷のため、家族のため、仲間のため、名もなき男たちの命がけの闘いが始まる。 と書けば、ハリウッドの大作映画の宣伝のようだ。つまらない…

読書メモ アウトゼア 未解決事件ファイルの迷宮 前川裕 光文社文庫

10数年ぶり?に、通勤電車の中で文庫本に読みふけって、降りる駅を乗り過ごしてしまった。 文庫本の書名は「アウトゼア 未解決事件ファイルの迷宮」前川裕著 光文社文庫のオリジナルだそうだ。作者は元新聞記者だそうで、たしかに文体も新聞記事っぽく、余分…

読書メモ 「歩く江戸の旅人たちースポーツ史から見た「お伊勢参り」谷釜尋徳

「歩く江戸の旅人たち」―スポーツ史から見た「お伊勢参り」谷釜尋徳 晃洋書房 2020.3.30 サブタイトルは本書の一部しか体現していない気はするが、この長距離を、本当に歩いていたのだろうか、どうやって歩いていたのだろうか、実は生きて帰る率が限られた…

読書メモ まほり 高田大介

まほり 高田大介 2019.10.2初版 KADOKAWA 新聞の書評でなんとなく興味を持って手に入れた。伝奇小説というのだろうか、人里離れた集落の奇習・因習の気配はぞくぞくする不気味さを醸し出していて引き込まれた。 途中の民俗学の学術的な解説に面食らい、学者…

読書メモ 「窓の外を見てください」片岡義男

窓の外を見てください。 片岡義男 2019.7.22 初版 講談社 80歳を超えているのだそうだ。そうかこっちも歳とるわけだ。 文庫「幸せは白いTシャツ」の初版が昭和58年だから1983年。37年前になる。 83年にはコミックモーニングでわたせせいぞうのハートカクテル…