時速20キロの風

日々雑感・自転車散歩・読書・映画・変わったところで居合術など。

「信者」と書いて「儲ける」と読む

儲ける極意は、信者を集めることだ。

ビジネスの世界の話だから「信者=固定客(リピーター・常連さん)」ということで、商売道としては至極まっとうな話だ。その信者をどうやって見つけて、リピーターに育てていくか、というところにマーケティング上の工夫やニードにマッチするサービスが必要なのである。だから商売は難しい。

 

 が、この文言、宗教団体や政治にも通じるようで。

 

しかも宗教活動というよりは「金集め」、政治活動というよりは「票集め」の方に、より通じているようで、それを聞けば、さもありなん、ではあるのだが、なんでいままで、この団体と政治の癒着が表ざたになってこなかったのかが不思議なんだけど。

 

 ところで、

 

 嫌韓でならした著名人、元総理とも直接食事をするような仲だったそうだが、元総理が票集めで重宝していたらしいこの団体は、韓国の団体で、日本人から巻き上げた金を活動資金にしてたそうだ。さて、どうやって気持ちに折り合いをつけるのだろう。「声の大きな人」の類だっただけに、他人事ながら気になってしまった。

 

 それにしても、

 

 一発の銃弾が元総理の命を奪った衝撃から2か月も立たない中でのこのストーリー展開はすさまじい。犯人は現在鑑定留置されているのだろうか。噂好きの間では、鑑定の結果、直接的な原因は心因性による妄想?とかにして、団体との関係性を否定するのだろう、ということだったが、もうそんなことでは収まらなくなってきた。はっきりいって、問題のある韓国の宗教団体が、日本の与党に根深く食い込んでいることが今の注目点で、射殺事件はそれが暴露されるきっかけに過ぎなくなった。

 裁判の結果どういう判決になっても、それはそれ、犯人個人の問題として、それより実際に政治家さんたちはどうよ、ってところの方が重大で、判決での目くらましはできない空気になってきたような。

 

 政治の方は、人の噂も七十五日、今は身を縮めて、これ以上の騒ぎにならないように、強硬に抵抗はせず、一部分を認めながらのらくらとジャブを撃たれ続けよう、としているのかもしれない。うっかりカウンターを食らってKOさえされなければ、判定勝ちはできるだろう、と。

 

 3年後の選挙前に、さて、どのくらいのメディアが蒸し返すことができるのか。それともやはり「3年後には、このことはいっさいしゃべりませんから、今だけはこのネタで儲けさせてくださいよー」ってことなのだろうか。

 

 野党は何をやってるんだろう。敵失は形勢逆転の大チャンス、だと思うけど影が薄いなぁ。国会がなくったって、集会開いたりして目立つ活動はできそうなのに。

 

 しょせん、同じ穴の狢なのかな。

ママチャリのバンドブレーキのキーキー音を歯磨き粉で直す。

 このバンドブレーキ、安い自転車に搭載されているようです。

自転車は、さまざまな部品を寄せ集めて組み立てられているので、安い自転車には安い部品が使われているんです。そういうことを知らないと、見た目の形や色だけで選んでしまいがちになります。部品の説明までしてくれる自転車屋さんも知りませんし。

 

 うちの場合は、子どもが小さいときに買った24インチの自転車のブレーキが、怪鳥音を響かせるのです。むかしの特撮ドラマで、謎の森の奥深くに分け入っていくとキー、キー、と不気味な声が聞こえてきます。あれです。とても自転車の音とは思えない。

 この自転車、まだ現役で、もう少しがんばってもらいたいのですが、道行く誰もが振り返るこの音だけはなんとかしたい。

 で、ネット検索で見つけた「ドラムに歯磨き粉を塗る」という方法を試してみました。

 

 バンドブレーキは後輪についたドラムにベルトが巻き付くことでブレーキを効かせる構造。ドラムとベルトの接点が汚れたり、摩耗したりしてキーキーいうようなので、そこに研磨剤(家にあるもの、ということで歯磨き粉)をつけて、ざらざらにして音鳴りを防ぐのです。後輪のハブのあたりをよく見ると、ドラムとバンドが見えますので、細長い棒(楊枝や串)で、ドラムに歯磨き粉をつけ、車輪をゆっくり回しながら、そっとブレーキをかけ、磨いていきます。

 

 これだけで音鳴りが止まります。

 

 長持ちはしませんから、応急処置ですが、乗るのも嫌になるくらいひどいようならお試しを。

 

2022夏 二色の浜までチャリ散歩

 7月も31日になり、気温は35度を超える猛暑日である。

やめとけばいいのに、チャリで二色の浜まで散歩にでる。散歩といっても片道25キロである。炎天下の中、夏には一度は海を見に行く、というノルマのために海へ行く。

 途中岸和田城に寄る。岸和田の市役所の近くでは、広い道を一本入ったところの紀州街道を走る。紀州街道もこのあたりは城下町の名残があり、観光客用の案内看板も出ていて、よそ行きに整備されている。建ち並ぶ古い日本家屋の低い軒先に風鈴がぶらさがり、涼し気な音を立てている。

 この風鈴、何件もの家がそれぞれぶら下げているので、観光客を意識した演出だろうと思われる。

 それにしても水を撒くとか、日陰を作る、風通しを良くするという、考えやすい直接的な方法ではなく、かすかな鈴の音によって、涼を感じる、という感性は日本人独自の情緒だろう。

 さて、風にそよぐ風鈴の音色で涼を感じることができるのは、気温何度までなんだろうか。

 

 そして海である。コロナ前に、りんくう公園まで行った際には、帰りに熱中症症状が出て転倒・負傷したので、今回は手前の二色の浜にしたのだが、夏休みに入った土曜の午後というのに、ビーチに人はまばら。夏らしいBGMもなく、海の家もなく、まるでシーズンオフ。夏休みが終わって海水浴場としての設備も撤去された9月半ばのビーチのようだった。ビーチを眺めながら、ぬるくなったアイソトニックで水分とミネラルを補充する。水際に行くほどの元気もなく、ビーチを後にする。

 夏休みとも思えない静かなビーチには、大学生くらいのお兄ちゃんのみのグループが、海中に響き渡る歓声をあげながらボール遊びをしていた。夏のビーチの定番の行動なのに、やたら浮いているのが痛々しい。

 

 そういえば、途中に通り過ぎた岸和田市民プールも、子どもの歓声はあがっていたものの、人は少なかった。

 猛暑日への警戒か、コロナ感染への警戒か。

 そんなときにチャリ散歩に興じているのもどうよ、と思うのだが、夏はこどもだけではなく、中高年にとっても短いのだ。夏を楽しもう!

 

 で、炎天下、いよいよ楽しむどころではなくなってきた中高年は、帰り道のスーパー銭湯に避難。水風呂に浸かって身体を冷やし、エクストラコールドなる、いわゆる「キンキンに冷えたビール」で熱中症の症状への対処をする。

 海がー、自転車がー、とかいいながら、本当はキンキンに冷えたビールを最大限に楽しむための炎天下サイクリングなんかい!といわれても仕方ないが、まぁ、実際、そんな感じでもある。

 

 夏のビールはうまい!

 

 

 

映画 グリーンブック 2019年米国

 1962年のニューヨーク。ホワイトハウスでも演奏した著名な黒人ピアニストが、南部での演奏ツアーを行うにあたり、運転手をスカウトする。スカウトされたのは、無学で粗野だが、持ち前のキャラクターで家族や友人に慕われる白人の中年男。

 実話なのだそうだ。

 映画は、このふたりが車に乗って旅をするロードムービー。たぶん生涯行くことがないだろうアメリカ南部の風景や風物を見てみたい、程度の興味で見てみたのだが。

 

 この白人の運転手、吹き替えの声優さんの演技なのかどうかはわからないが、のっけからビートたけしに見えてしょうがなかった。キャラ的にビートたけしが(今よりもうちょっと若いころの)演じてもまったく違和感がない、というよりぴったりくるだろうなぁ、と思いながら最後まで見た。

 

 保守的な南部における黒人差別は、ホワイトハウスでも演奏して天才ともてはやされるピアニストにも容赦なかった。

 

 という重く暗くなりがちなテーマが、ビートたけしの飄飄とした演技によって人情喜劇に転化されていく。

 

 それにしてもアメリカは、映画のテーマで人種差別を扱い、人種差別がテーマではない娯楽映画でも、登場人物の中の、正しいことを言って尊敬されている中間管理職、みたいな脇役に黒人を使ったり、普通に大統領が黒人だったり、と映画だけ見ていれば、もう人種差別なんてないんじゃないか、と思ってしまうのだが、今でも現実はそうでもないらしい。

 肌の色が黒い人を差別する、というより、「貧困を根本原因にした犯罪傾向の強い人を敬遠、嫌悪しているのだが、そういう人には比較的黒人が多い」ということなのかもしれない。

 

 なんて難しいことを考えなくても、上質の人情喜劇を楽しみながら、観終わった後に、けど今でも実際、こんなことあるよな、と考えてしまう。

 面白かった。

 

読書メモ 「コロナ黙示録 2020年災厄の襲来」海堂尊 2022年7月 宝島社文庫

 文庫の新刊。続編の「コロナ狂騒録 2021五輪の饗宴」も同時に刊行されている。

本書では、クルーズ船の入港騒動からマスクの配布あたりまで、不定愁訴外来の田口先生をはじめ、チーム・バチスタシリーズのおなじみの面々が、コロナに振り回される様子を描く。っても、これ、出てくる政治家とか、出来事の流れとか、そのまんまやけど…。

 さて、どこまでが作家の想像で、どこまでがリアルなのか。当たらずとも遠からず、なところなのか。作者は医師なので、厚労省や医師会の動きや裏側は熟知していると思われるが、政治の舞台裏についてはどうなのか。

 けど、たとえ想像の産物だとしても、普通はそう想像するよね、そうではない言い分の方が、眉唾物だよね、と思うのが普通かな。

 

 平素見聞きする新聞、テレビなど大手マスコミもまったく信用できないし、SNSは左右の論客が、左右に偏った言動を弄して、ののしり合いや口論に余念がない。

 新聞は購読数、テレビは視聴率、SNSはコメンテーターさんの知名度アップとそれに依存した個人の自己顕示欲の発露が目的なのだから、「報道」といっても実態は、競合し合う近隣のスーパーのチラシと目的は同じ。信用する方がバカなんだろう。

 今朝、Twitterを見てみたら、旧統一教会の被害者を救済するために活動している弁護士が、「旧統一教会の被害者を増やさないことを目的に発言しているのであって、特定の政治家を批判することが目的ではない。そう見えるような切り取りはやめてほしい」という趣旨のメッセージを載せていた。

 文章なら、ゲラの校正があるので、そこで訂正できるが、テレビのインタビュー等の映像では、そのような「著者校正」の機会がないのだそうだ。編集せず、そのまんま放送するならまだしも、編集や切り取りをしておいて校正させないというのはありえないと思うのだが。これは第三者機関が激しく禁止するべきでは?

 テレビの影響力は、文章の比ではないぞ。

 

 ちなみに、与党の福田某二世議員が「問題ない」といった、ということで叩かれていたが、これも切り取り前の映像を見たら、「選挙の手伝いをしてもらったとはいえ、政策になんら影響をしていないので、問題はない」というレトリックだった。

 仮にジャーナリストであれば、「本当に影響していないのか?影響はあるのではないか。その影響が、悲劇を生む要因になってはいないか」というところを探っていくべきだろう。中学生でもわかる。

 

 でも彼らは「これで行きましょう。問題ないって言い切った。これ、いけますよ!」「そうだな。視聴者なんて真実が知りたいわけじゃない、話題が熱い間に、さらに火に油が注がれて、セージカ、とか、ゲーノージンとか、自分よりカネも権力も持って、いい目してそうな奴らが大炎上しているのを見て喜ぶんだ。特にこの手のネタは短期勝負だから一気に燃やして稼ごうぜ!」ってなってるんだろうなぁ。

 

 マスコミとか新聞記者って、自分たちはエリートだって社員教育でされるんだろうか。知人の経験だが、某福祉系国家資格を取るための「養成講座」に受講生として参加した新聞記者さんは、20年以上の運営経験がある中で、3本の指に入るクレーマーだったそうだ。3本のうち、2人が新聞記者だったから、その比率の高いこと。

 

 そういえば、某新聞のモニターを半年ほどやった際に、「今は、新聞よりも週刊文春がジャーナリズムを実践しているようだが、それでいいと思ってるのか」と提言、というか文句をいったことがある。その発言は「今週のモニターの意見ダイジェスト」で取り上げられてはいた。週刊文春の名は伏せられていたが。

 


 

やばい、やばい、気持ちがブルーになっていく。

 統一教会との関係を、案外あっさり認める政治屋さん多いな。

やっぱりそれは選挙が3年間ないからだろうね。

 今、変に抵抗して火に油注ぐより、あっさり認めて、敵の戦意を鈍らせておけば、今年の冬の10大ニュースの頃には蒸し返されたとしても、年が明けたらもう覚えている人もいないっしょ、ってことでしょうね。

 だとしたら、腰が引けてるマスコミの中で、果敢に糾弾している一部のワイドショーも、いまだけ視聴率稼げればそれでいい、3年後の選挙前に蒸し返さなければOK!って感じ? 嫌韓、嫌中で、そんなテーマの本も書いてる著名な右の論客も、てめえら、あの韓国に貢いでやがったのか!と怒ってもいいと思うけど、おとなしいな。

 韓国と言えば、最近アマプラで「悪女」と「魔女」を立て続けに見た。どちらも女性が主人公の肉弾戦がメインのバトル映画であるが、そのアクションシーンがめちゃくちゃ面白い。カメラワークも斬新だし、スピードも迫力も目を見張るものがある。

 こんなアクションシーンを見せてくれる日本映画はないなぁ。

 コロナどうなってんの?相変わらず、ワクチン反対、ワクチン賛成の論客たちは、SNSで真逆のことを主張しあってる。どっちやねん、打ってええんかい、あかんのかい、もう答え出てもええくらいの時間たったやろ。

 いやいや、金儲けの邪魔になるようなデータだすわけないやろ。あらゆることには金がからんどるんや。

 

 へ、なんやそれ、東京五輪でもやっぱり贈賄あったんかい。

 ブルーカラーの生活をぶち壊した竹中平蔵、さすがに怖なって逃げるんかい。

 

 それにしてもなぁ

 金、金、金の世の中で、泣くのは弱いものばかり。

 そんなドラマが流行った時代は、まだみんな中流暮らしで、他人事やったんやなぁ。

 

 今年のプロ野球オールスターは面白かったな。

一流選手の業とエンタメがほどよく交じっていた気がする。

特に、パ・リーグのベンチの楽しそうなのには、見ているこちらも頬が緩んだ。

 

そんなことぼやーっと思いながら、それでもなんとなく、ぼちぼち生きていくしかないんやけどね。

 

なんてこと書きながら、猫の動画を延々流すテレビ番組を、もうかれこれ2時間観てる。

おもろすぎて、飽きんわー。

 

 

 

 

 

 

映画 前科者 で、役者さんの名演技を堪能

 原作を「LINEまんが」で読んでいて、面白いな、と思っていたらWOWOWで連続ドラマになっていて、それをアマプラで見た。そしたら今年の2月頃だったか、映画になって、観てみたい、と思っていたら案外早く劇場から消えてしまった。暗いし地味なお話だからしょうがないか、見そびれたなぁ、と残念に思っていた。

 で、最近気づいたのだが、いつからか知らないがアマプラに入っていた。サムネ見て、連続ドラマの方だと思っていた。よく見たら映画版だった。まだレンタルになってないと思うけど。

 主演は有村架純。かかわる前科者が殺人犯ということと、主人公の阿川佳代がなぜ保護司になったにか、というエピソードが織り交ぜられた分、ほどよく映画らしいシーンや筋運びになっていてた。

 

 個人的には、有村架純さんが、テレビ版では「こういう役にもチャレンジします。役の幅を広げます」的な印象も多少感じたが、映画版では堂々と地味でまじめでちょいブスな役を身につけていたと思う。それよりも、テレビ版に引き続いてヤンキーあがりの前科者を演じた石橋静河さんが、テレビ版よりは板についていて、役者さんって上手くなっていくんだなぁ、と感心した。石橋さんは、テレビ版では、みえみえの金髪かつらと、いかにもなヤンキー口調が「一所懸命チャレンジしてみました」感満載で、実際はご本人にはこの要素がゼロなんだろうな、と逆に思えていたのだが。

 脇役も達者な人ばかりで、それぞれが大した動きもしないし、大げさなセリフもないのに、役どころとキャラを体現していて、演技って、感性とか気持ちでやってるように見えて、すごい技術がその土台にはあるんだろうなと思う。

 そして、やっぱりあんたかリリー・フランキー。どの映画見ても出てくるな、このおっさんは。

 それと詐欺師の正名僕蔵、何もせず帰ってえらい。磯村勇斗、あれ…?森田剛、さすが。

 DVDレンタルは8月3日からだそうだ。

 

軽作業靴「親方満足」におじさん満足

 昔、ホームセンターで出会ってから、けっこう愛用しているのが、軽作業靴である。

布製で、底は飴色のゴムだ。ゴムの木の樹液から作られる天然ゴムである。

 そこに惹かれた。なんかいいじゃないかゴム。自然じゃないかゴム。ゴムの木に傷をつけて流れ出る樹液を集めている映像が間に浮かぶ。やはり輪ゴムの色、してるじゃないか、ゴム。

 

 ゴム底ということは、期待される性能としては地下足袋だが、見た目を運動靴にした、という感じだろうか。私が履いているのを見た知人は、いまでも「カンフーシューズ履いてくるから驚いた」とかいう。踵の高さがないから、たしかに古いカンフー映画で見かける靴に似てはいる。

 で、割と愛用していたのだが、地下足袋の機能ということで、たぶん足裏の感触がしっかる伝わってほしいのか、クッション性が少なくて、長く歩くと足裏が痛くなる傾向があった。

 

 最近は、夏場、というか6月から10月いっぱいまでは、雪駄で過ごすことが多いのと、通勤でも使えるようなウォーキングシューズを手に入れたことで出番が減っていたのだが、久しぶりに履いてみようとしたらけっこう痛んでいたので、新調することにした。

 チャリ散歩の途中で、ちょっと大きいコーナンに行った。

 久しぶりに見たが、軽作業靴にもいろいろな種類がある。けっこうこじゃれたデザインのものもあって、流行りのワークマンに対抗しているのかもしれない。

 もうゴム底の靴なんかないのかな、と思っていたら、あった。売り場の隅に置いてあった。商品名は「親方満足」。ちょっと引く。やはりプロが使うもので、素人が手を出してはいけないのか。しかし、ゴム底がそそる。踵のない、なんの飾りもないデザインがそそる。そして1000円という値段がそそる。

 

 そそられて、久しぶりに新調した「親方満足」。履いた当初は布もゴムも硬かったが、しばらく歩いているとなじんでくる。そして気づく。「クッション性、あるやん!」

 地面に踵を下ろしたときに、ガツンとアスファルトの衝撃を感じていた「軽作業靴」なのに、この「親方満足」は、クッション性があり、ガツンと来ない。歩ける。これは歩けるぞ。実際に、5キロ程度のウォーキングで使ってみたが、楽だった。ゴム底が、地面をしっかりつかんでくれる。布製のシンプルなデザインは、足の甲をしっかり包み込むので、靴の中で足が滑らない。靴底に高さがないので雨や水たまりには弱いだろうが、まぁ、雨模様の日にわざわざ履こうとは思わない。

 そんなわけで、軽作業靴も進化している。いいじゃないか「親方満足」。

 この手の靴は、ホームセンターかワークマンで手に入る。

 

読書メモ 「ムーンライト・イン」 中島京子 2021 角川書店

 冒頭で、自転車で旅をしている青年(若めの中年?)が出てきたので、それで手にした小説である。著者の作品は、映画にもなった「ちいさなおうち」を読んだことがあった。

 この冒頭の自転車旅の若めの中年、が主人公というか狂言回しの役目で、大雨の中、雨宿りを乞うたのが廃業したペンション。そこに暮らす、いわくありげな3名の中高年の男女と、フィリピンからきた女の子が主な登場人物である。

 まるで小説のような?スペクタクルな出来事も事件も起こりはしないが、それぞれの人生には、それぞれの起伏があり、それぞれの起伏は、出会った人によって少しは増幅されたりする。それぞれの名もない普通の人たちの、とても個人的なエピソードだが、それがそれぞれの人生を大きく揺らす。

 そしてそれぞれの選択によって、それぞれの人生にどんな新たな起伏が生じるのかわからないが、すべての人物に幸あれ、と思ってしまう。

 そんな感じの小説で、雨が降ってアジサイが鮮やかな、梅雨の1日を使って読了した。

 

 正直に言おう。この小説がよかったのは、読後に振り返って思ったのだが、登場人物が少ないことだ。それでも読んでいるうちに、それぞれの登場人物に与えられた過去のエピソードや、その人にまつわる人物の名前など、ページを戻して確かめるか、それも面倒で、忘れたまま読みすすめるか、という残念なことになりはしたが、それでも読了できたのは、登場人物の少なさだ。

 それと紆余曲折の数だろうか。ほどよいのである。何も起こらなければ読んでいても退屈だが、あまりにいろいろ起こりすぎても頭がついていけない。

 ほどよい。けど全体的にライトで薄味、というようなものではない。読後の充実感は深く満足度は高い。

 歳を取るってこういうことなのだろうが、まずは、こういう登場人物が少なく、静かだが奥深い小説を見つけよう。と思う。

 


 

映画「シン・ウルトラマン」2022

 アラ還世代で、幼少時にリアルタイムや再放送とかで、テレビシリーズを観ていた方はぜひ。ネタばれになるので内容については何もいえませんが、制作陣がテレビシリーズの初代ウルトラマンをとてもリスペクトしているのだな、ということを感じられたので、十分に満足できた。幼少期にテレビでウルトラマンを夢中になって観ていた自分自身を大事にしてもらった気分になった。

 初代のテレビシリーズを観たことがなく、ウルトラマンをフィギュア的にしか知らない世代にはどう見えたのだろうか、という点が気になったくらい。

 この感じで作ってくれるのなら「シン・仮面ライダー」も期待できるなぁ。楽しみが増えた。